MTG強豪プレイヤーkuroebiさんインタビュー1

      2016/07/09


今回の発表にあった「特定のカードセットが使えなくなる」ことは、カードゲームにおいては古くから行われてきたことです。
マジック・ザ・ギャザリングにも「スタンダード」があり、古くなったカードセットがスタンダードで使えなくなることを「スタン落ち」と言います。
ハースストーンに言い換えると、

「ナクスラマスの呪い」
「ゴブリンVSノーム」

この2つが「スタン落ち」するわけですね。
18年間、マジック・ザ・ギャザリングをやっており、スタン落ちとの付き合いも長いkuroebiさん(@kuroebi_games)に、今回の発表についてどのような考えを持っているのかをお聞きしました。

以下、kuroebiさんの発言を文字にまとめました。
※あくまで個人の見解です。

次のアップデートで、現在使えるカードの中から3分の1ほどのカードが使えなくなり、それと入れ替わりで新しいカードセットが実装されます。
その影響があまりにも大きすぎるということで、今ある既存のデッキが「残る」「残らない」ということが話題になっていますが、今、議論すべき点はそこでは無いと考えています。

■今、考えるべきこと
今は「新しいカードが出たときの影響」をしっかりと見定めることを考えるべきでしょう。現状でどのデッキが残る、もしくは強いなんて判断はできないですし、現状で判断ができるような浅いゲームだったらみんなここまでやってなければ、ここまで頭を抱えることも無いと思います。

■今、必要なこと

僕の場合、デッキ構築力を磨くというところにクローズアップしています。
一番大事なところは、「カードを見る」というところです。

■カードプールを働き蟻に例える
今まで日の目を見なかったカードというのは山ほどあります。
この喩えをするのはあまり好きではないのですが、カードプールというのは
働き蟻
になぞらえることが多いです。一部の有用カードは、ずっと働いている状態です。
他の日の目をみないカードはずっと使われない状態で、この先もずっと使われません。新しいセットが追加され続けても、今まで働いてたものが働かなくなるだけで、働き蟻の比率っていうのはあんまり変わらないんですよね。

今回のセットローテーションによって、働き蟻がごそっと変わります
何が変わるかというと、今まで日の目を見なかったカードが働き蟻の側にくるわけですね。
今まで働き蟻になれなかったカードを、働き蟻として使うためには、僕たちの「カード観察眼」というのを養っていかないと、働き蟻かどうかを判断することができません。
ですので、「カードを見る目」というのを養っていく必要があると思います。

天野
なるほど、それは…
俺、デッキ構築に自信がないから、crossさんが作った強いデッキを
そのまま使っちゃお

というところだけじゃなくて、そうするにしても「細かいメタの変化」に対するカードの入替えであったりだとか、そういう柔軟性を養わなければならないと。そういうところにも繋がるわけですね。
―――

そこまでできるとと100点ですね。でも、もっともっと簡単な話でいいんです。今までこんな強いデッキがあって勝てなかったけど、次の環境だと「このコンボが強いのかなぁ」とか、それぐらいで良いんです。

天野
えっ、かなり敷居が低いですね。
―――

もちろん!例えばパトロンが流行ってるときアタック2以下のミニオンが並べるデッキは根本から否定されてた状態がありましたよね。その結果、パトロンデッキは弱体化され、他のデッキもまた少し幅が広がりました。これから起こることは、それを更に大きくしたことなんですよね。

■今、やるべきこと

ではどうすれば良いのかというと、「このカードは今の段階では使える、使えない」というのを、カードリストを眺めて探していくという作業を、1人ないし誰かと話し合うことが必要になってきます。

天野
なるほど、まずは先に考えておいて、いざアップデートが来たときに試してみると。それが上手く行かなかったとしても、経験は力になりますね。ハースストーンのプレイングも、失敗から学ぶことが多いです。
―――

■見習うべきはcrossさんの行動力

またcrossさんの話になるのですが、crossさんはデッキを沢山作りますよね。それは「試さないと分からない」ということと、「自分の発想を大事にしている」という部分だと思うんですよね。それは本当に見習わなければならないと思ってますし、今、それがあるから日本のハースストーンは盛り上がってきているのかなと思います。
ただ、その人にだけ頼るというのも違うんですよね。crossさんができることって、僕たちも時間や情熱をかければできると思うので、今後、春までの時間は今後、そういう時間にあてて欲しいし、僕もこれからはそういう時間を作りたいと思っています。

■kuroebiさんが一番伝えたいこと

今は全てのカードが使える自由があるのですが、
「あのカードはこのカードより弱い」
「あのカードをみんなが使っているから、このカードは使えない」
という、自由の中の不自由を強いられているような状態なんですよね。
逆に、不自由の中に自由を感じて欲しいと思っています。

そして自分なりの考えを持ってデッキを構築し、ラダーに挑んで欲しいですね。
―続く。

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